タイの運輸省は8月1日より、バンコク市内の一部路線バスの運賃を無料にした。原油価格の高騰により、食料品や生活用品など物価が上昇していることから打ち出した低所得者向けの支援策のひとつで、BMTA(バンコク大量輸送公社)の赤い路線バス(ノンエアコン)の一部が対象となる。
バンコク市内では大別して、民間委託のバス会社と無料バスを実施している半官半民のBMTA(バンコク大量輸送公社)の2種類のバスが運行されている。民間バス協会は「公営バスの運賃無料化により深刻なダメージがある」と悲鳴を上げるが、バンコク市民からは概ね好評の無料バスだ。
バンコクでは、労働省布告により一日当たりの最低賃金が203バーツ(今年8月27日現在)と定められているが、実際はそれを下回る低所得者が多数存在し問題にもなっており、通勤手当のない企業も多いことから物価上昇が市民生活を圧迫しているのが現状。
従来BMTAの赤バスは乗車距離に関係なく一律7バーツだったが、9月1日より9バーツに値上げが決まったことから、「市民からはますます無料バスが歓迎されるのでは」とBMTA・PRグループのカンティップさんはいう。
現在同市内で運行中の無料バスは73路線で延べ800台。前後のガラスと車体の左右に「低所得者のための無料バス」のステッカーが目印で、乗車後にタイの身分証明書の提示が必要。
運行期間は半年間で、2009年1月31日までを予定する。