バンコクの北北東約100キロにあるケンコイ寺(サラブリ県ケンコイ市)で4月2日、マラリアなどで命を落とした日本人移民の霊を祭る「日本人移民の碑」の法要が執り行われた。
1895(明治28)年、広島県や山口県から日本人として初めての農業移民32人が渡タイ。現在のルンピニー公園付近で農業開拓事業を進めたものの引率者が滞在費を使い果たし窮地に陥った。その後15人が東北タイの鉱山の坑内員として雇われ、7人がコラートに至る鉄道の建設工事に従事したが、マラリアなどで全員が死亡するという悲劇が起きた。その後、タイ国日本人会が同碑を建立した。
慰霊碑のあるケンコイは戦時下の1945年、当時日本軍が駐屯していた操車場が連合軍により爆撃を受け、住民に多くの犠牲者が出た地でもある。毎年4月2日にはサラブリ県知事、ケンコイ市長らも参列する慰霊祭が行われていたが、日本人会にも参加の呼び掛けがあり、法要も同日に行うことになったという。
この日はタイ国日本人会の会員ら約20人の日本人が参列。バンコクの日本人納骨堂の堂守で高野山真言宗の日本人僧侶、慰霊祭に参列した地元民や参拝者らと共に手を合わせ祈りをささげた。